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2023年11月のアーカイブ

FIT と FIP

私 福留修蔵は、再生可能エネルギーを普及させる会社を経営しております。
 昨今、太陽光が強い日中の時間帯にて再生可能エネルギー電力の出力抑制が頻繁に起きています。その出力抑制量は2018年度には約1億Kw/hだったものが2022年度には約6億Kw/hとなり増加傾向にあるそうです。
 出力抑制が起こるということは、供給過剰ということであり結果として電力の市場価格が下限価格の0.01円/Kw/hに達するという事態が度々生じています。一方で蓄電池を所有する事業者は日中時間帯に蓄電し、高価格の夕方以降に市場に供給することで利益を得ているようです。
 FIT制度は再生可能エネルギー電力を固定価格で買取る制度なので、事業者にとっては市場価格の変動に応じて供給量を変化させるという時間シフトへの動機には繋がりません。その結果、FIT事業者は常に最大量の電力を市場に供給し続けるが故に強制的な出力抑制の頻度がより多くなっているというのが実状です。
 反対にFIP制度は市場価格の水準に一定額の補助金を与える仕組みなので、事業者にとって時間シフトをするインセンティブが生じることになります。時間シフトをする為には当然のことながら蓄電池が必要となりますが、日中に溜めた電力を夜間に供給することにより、日中の出力抑制も減り且つ夜間の再生可能エネルギー電力の供給も安定することになります。
 現在、政府はFITからFIPへの転換を可能にする制度を用意し、出力抑制という電力の無駄遣いを削減する方向で動いているようです。しかしながら転換の為には高価なオンライン制御装置の設置義務等もありなかなかハードルは高いようです。
 いずれにせよ、蓄電池活用、その設置推進の為にも政府には積極的に動いて欲しいと考えます。
 以上