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海賊とよばれた男

私 福留修蔵は、自然エネルギーを普及させる会社を経営しております。
 私の愛読書のひとつに出光佐三氏をモデルとした「海賊とよばれた男」(百田尚樹著)という本があります。戦前戦後の厳しい経済環境の中、一代であの出光石油をゼロから作り上げた男の壮絶な物語です。資源が乏しい日本においては海外石油メジャーの力が圧倒的に強いのですが、そのメジャーからの強烈な圧力にも屈せず、日本の将来を慮り彼らに牛耳られないよう戦い続けた反骨の生きざまがまざまざと描かれています。当時の商工省(現経産省)からの統制圧力や業界団体からの不当な要求にも自身の考えを一切譲らず、知恵と信念で立ち向かった姿に私は心から共感を覚えました。
 佐三は、福岡県門司で会社を興しましたが、関門海峡を隔てた対岸の山口県下関の漁師達の船に軽油を販売するにあたり、陸上からではなく海の上で船から船に給油し売りまくったことより海賊と呼ばれるようになりました。これは、福岡県内しか石油の販売権持たず山口側では石油を売れなかった佐三が知恵を絞り当時高かった灯油に代え船の燃料には使えないと言われていた軽油を安く売りまくったエピソードです。
 その後、徳山に日本最大の製油所を作ったり、当時としては最大のタンカーを自社で保有したりと、常識では考えられない発想と実行力で常に新しいことに取り組み会社を発展させていきました。佐三にとっては自社の利益は二の次としながらも日本民族の為にという強い愛国心が原動力となっていたのでしょう。そして佐三は何より社員を大切にし、終戦後の大不況下でも社員をひとりも首にせず難局を乗り切って行ったのです。資金繰りに窮し銀行に支援を求めた時も「うちの経営は今は非常に困難ではあるけれども私の店は店員が資本であるんで、どうか店員を見て下さい。今にわかって下さるが、まあ、よその店員とは違う」と自信を持って説得し、実際に社員の働きぶりを見た銀行支店長は納得し要求以上の額の融資に応じたそうです。
私の会社はまだまだ50名の小さな会社ですが、この本を紐解くたびに佐三の如く愛国心と社員を思う心を大切にし事業に取り組んでいこうと決意を新たに致します。
以上