福留修蔵.com

COP28

私 福留修蔵は、再生可能エネルギーを普及させる会社を経営しております。
 先日、第28回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP28)が閉幕しました。
 今回の会議にて「化石燃料からの脱却」という文言が合意文書に盛り込まれることとなり、欧米メディアは「歴史的な合意に到達」や「前例のない合意締結」とその成果を讃えています。但し、中東産油国の猛反発により「化石燃料の段階的廃止」は明記されませんでした。
 同時に、2030年までに世界全体の再生可能エネルギーを現状の3倍にすることも決定されました。しかしながら、わが国は主要7ヶ国の中で脱炭素の進捗が最も遅れているようであり、2030年度の再生可能エネルギー導入量は2021年度のせいぜい2倍弱に留まるという見通しです。
 そもそも、国連では産業革命以前の気温より1.5℃の上昇で留めようとの目標を設定していますが、既に1.1℃上昇しているとの指摘があり、さらには2023年の10月までの世界の平均気温は1.4℃ほど上昇したとの説も出てきており、もうわずかしか猶予がなくなって来ています。  
気候変動による干ばつや洪水の影響によりアフリカでは2億人の気候難民が発生したとの研究報告もあり、気候変動は食料不安や飢餓をも生みクーデター等の紛争誘発にまで至っていると懸念されています。
 COPが開催される度に、我々は危機感を募らせますが閉幕後時間の経過と共にその意識が薄れてしまうように感じるのは私だけでしょうか。
 わが社としては、誠に微力ではありますが常に強い危機感を持ち続け地球環境に少しでも貢献できるよう再生可能エネルギーの開発に日夜取り組んで参ります。
 以上

FIT と FIP

私 福留修蔵は、再生可能エネルギーを普及させる会社を経営しております。
 昨今、太陽光が強い日中の時間帯にて再生可能エネルギー電力の出力抑制が頻繁に起きています。その出力抑制量は2018年度には約1億Kw/hだったものが2022年度には約6億Kw/hとなり増加傾向にあるそうです。
 出力抑制が起こるということは、供給過剰ということであり結果として電力の市場価格が下限価格の0.01円/Kw/hに達するという事態が度々生じています。一方で蓄電池を所有する事業者は日中時間帯に蓄電し、高価格の夕方以降に市場に供給することで利益を得ているようです。
 FIT制度は再生可能エネルギー電力を固定価格で買取る制度なので、事業者にとっては市場価格の変動に応じて供給量を変化させるという時間シフトへの動機には繋がりません。その結果、FIT事業者は常に最大量の電力を市場に供給し続けるが故に強制的な出力抑制の頻度がより多くなっているというのが実状です。
 反対にFIP制度は市場価格の水準に一定額の補助金を与える仕組みなので、事業者にとって時間シフトをするインセンティブが生じることになります。時間シフトをする為には当然のことながら蓄電池が必要となりますが、日中に溜めた電力を夜間に供給することにより、日中の出力抑制も減り且つ夜間の再生可能エネルギー電力の供給も安定することになります。
 現在、政府はFITからFIPへの転換を可能にする制度を用意し、出力抑制という電力の無駄遣いを削減する方向で動いているようです。しかしながら転換の為には高価なオンライン制御装置の設置義務等もありなかなかハードルは高いようです。
 いずれにせよ、蓄電池活用、その設置推進の為にも政府には積極的に動いて欲しいと考えます。
 以上

蓄電池

 私 福留修蔵は、再生可能エネルギーを普及させる会社を経営しております。
 新聞によりますと、再生可能エネルギーの拡大に不可欠な蓄電池が世界的に普及期に入ったとのことです。そもそも太陽光や風力といった天候に左右される再生可能エネルギーを需要に適したタイミングで出力させるには蓄電池を使う仕組みを整える必要があります。
 2023年に世界で新たに追加される蓄電池の容量は前年比87%増の30ギガワットとなり5年で約10倍に増えたことになるそうです。国を挙げて再生可能エネルギーの導入を進める中国では、2022年には前年比2.3倍となる5.6ギガワットの蓄電池を新たに導入したそうですし、欧州でも大規模な蓄電所の建築が進んでいるようです。
 一方、日本では、再生可能エネルギーは固定価格買取制度(FIT)をベースに普及した為、蓄電池の需要が伸びなかったと言われており未だその普及率は極めて低い状況にあります。
 世界的に蓄電池が普及期に入った背景には、リチウムイオン電池を含む製造コストが大きく下がったことがあるようです。さらには、米国を始め政府による補助金もその普及を後押ししていると言えます。
 日本においては、九州電力のみならず、中部電力や関西電力でも出力抑制が度々行われています。斯様な状況において、再生可能エネルギーのさらなる拡大を目指す為には、国内の蓄電池産業への支援のみならず、系統用蓄電池への投資を促す政策が必要なことは間違いありません。
 以上

網走バイオマス第2・第3竣工式

私 福留修蔵は、再生可能エネルギーを普及させる会社を経営しております。
 先般、網走にてわが社が企画・開発・施工をした網走バイオマス第2及び第3発電所の竣工式が盛大に執り行われました。
 振り返りますと、バイオマス発電所の可能性を強く感じ、ドイツにそのメーカーを探しに行ったのが2014年でした。その時点では、世界中にどんなメーカーがあるのかも判らないものの、調べる限りやはりこの分野はドイツの技術が進んでいると判断し、インターネットで有望なメーカーを探し回りアポイントを取り視察に赴きました。
 その後、ご縁あって北海道の網走に、バイオマス1号機発電所を建設、引き続き2020年9月にバイオマス第2発電所を2021年5月にバイオマス第3発電所を着工致しました。
 地元の行政の皆様、スポンサーの皆様、金融機関の皆様、そして燃料である木材を供給頂く関連会社の皆様の強力なご支援を賜り、この度無事竣工式を迎えることができましたことをとても感慨深く感じております。
 この工事期間は正にコロナ禍の真っ只中でしたし、スエズ運河封鎖による部材の到着遅延もあり、幾多の並々ならぬ苦労を乗り越えての完成ですので、その喜びはひとしおです。
 そして、なによりマイナス20℃、30℃の極寒の網走で日々現場に赴き仕事をやり遂げてくれたわが社の社員とご協力頂いた関連会社の皆さんに心から御礼と感謝の言葉を申し上げたいと思います。本当に大変な工事でした、それを思うたびに頭が下がる想いです。
 この竣工はわが社にとっての大きな節目ではありますが、これに慢心せず、これからもあらゆるプロジェクトに全社一丸となって取り組み地球環境に少しでも貢献していきたいと改めて強く感じております。
 以上

G7気候・エネルギー・環境相会合

私 福留修蔵は、再生可能エネルギーを普及させる会社を経営しております。
 先般、札幌にてG7気候・エネルギー・環境相会合が開催されました。その共同声明として、石炭だけでなく今迄対策を講じていなかった天然ガスも対象とした化石燃料の段階的廃止の加速が合意されました。但し、欧州やカナダが求めていた石炭火力発電所の廃止時期の明示は、欧州に比べ再生可能エネルギーの導入が遅れ、且つ原子力発電所の再稼働も進まない日本の反対により声明には盛り込まれませんでした。今回のこの結果は、単に地球環境への配慮からだけではなく、ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰等、エネルギー安全保障と脱炭素化の両立を目指したものと解説されています。
 さらには、脱炭素化への積極的施策として、洋上風力発電を2030年迄に7カ国合計にて1.5億kwに引き上げること、及び太陽光発電は2030年迄に10億kwと現状の約3倍に増強することも打ち出されました。
 しかしながら、日本国内では再生可能エネルギーの出力制限が大都市圏でも実施され始めたようです。従来、再生可能エネルギー電源の比率が高い九州等では頻繁に行われる出力制限が、不十分な送電網の影響にて電力需要地である大都市圏を抱える中部電力でも実施されたようです。
 今、世界は再生可能エネルギーをさらに積極的に増強しようと動いておりますが、片や日本では再生可能エネルギーの大量導入を実現できる送電網のインフラにまだまだ大きな課題を抱えております。
 国は約6~7兆円を投資する送電網の整備計画をまとめたそうですが、詳細のスケジュールは未定であり、実現までにはかなりの時間を要するようです。
 是非とも、主要7カ国の一員として送電網の整備についても日本国としてリーダーシップを発揮し強く推進して欲しいと考えております。
 以上